歯周病と糖尿病の意外な関係
2008年3月19日 水曜日
歯周病は
「口臭の元となったり、歯茎がはれたりするちょっとしたトラブル」
「悪化すると歯が抜ける病気」
などと考えている人が少なくないようです。
今回は歯周病と全身疾患の関係についてのお話です。
以前から糖尿病になると歯周病になりやすい事は知られていました。
ところが最近の研究では、逆に歯周病が糖尿病を引き起こす原因になることも分かってきました。
歯周病ポケットの深さが5mmほどの中程度の歯周病では、炎症した部分の面積あわせると手のひら分に相当する大きさになります。
ここから、歯周病菌や内毒素が血液中に流れ込み、それらが抗原となって白血球を活性化し、肝臓や脂肪細胞から様々な炎症成分が分泌されます。
この炎症成分の一つであるTNF-αは血糖値を下げるインスリンというホルモンの効きを悪くし、糖尿病を引き起こす原因となります。
また、炎症性成分インターロイキン-6は、肝臓からさらに別の炎症成分CRPを分泌させ、心筋梗塞のリスクを高めます。
しかし歯周病を治療すれば、糖尿病を改善したり、心筋梗塞のリスクを低減できます。
歯周病予防で大切なのは、先ず肥満にならないことです。肥満の人はそうでない人に比べて3〜8倍歯周病になりやすいというデータがあります。これは、肥満した人の脂肪細胞から前述の炎症成分が大量に放出されるからです。また、1年に30箱以上のタバコを吸う人は、非喫煙者に比べて歯周病になる危険度が5倍以上になるという報告もあります。
このように歯周病が全身疾患を引き起こすことがあるということが分かったでしょうか。
既に歯がぐらついている、口臭や歯ぐきの腫れがある、糖尿病を患っているという人は、
すぐに歯周病治療を始めたほうがいいでしょう。
(Nikkei Business 2006年1月30日号:改)
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